2012年3月11日日曜日

i INFOのかわりとして・・・ 陸前高田から気仙沼へ



バス発車時刻が迫ってきました。


とうとう、お店の一軒すら見つからなかったなぁ・・・。


そんな事を考えながら、

陸前高田市仮庁舎前のバス停に向かって歩いていきます。


そういえば・・・

朝、軽くパンとヨーグルトを食べて以降、何も食べてない事に気づきます。


いつもならば、昼になれば 待ちかねたようにグウと鳴るお腹が

日暮れ近くなっても、お腹が空いているような気すらしません。


自分が思っている以上に、

体の方がショックを受けているのかも知れないな・・・

帰るまでに、しっかり詰め込んでやらなくては。


何をお腹に入れようにも・・・

とうとう、仮庁舎の外の飲料の自販機以外にお店は見つかりません。


そういえば・・・ 高田の一本松が見つからなかったなぁ~。


いよいよ、高田を離れる前、


バスの車窓左手に見えました・・・

地元の人にとって自慢だった、高田松原の中で唯一残った松。


一瞬の出会いでしたが・・・


瓦礫と荒地が広がる風景のなかで、

唯一 この一本のみが命の痕跡を示していて

我、ここに松原のあった事を示す! とでも言わんばかりに

立ち尽くしているように見えます。



いかに津波被害が大きかったかは、この沿線からの

一枚からだけでも伺うことができます。




バスを降りた、気仙沼でも列車の発車まで一時間半あります。


私は、初めて訪れる土地では、

可能な限り歩いてみることにしていますので、

暗くはあるのですが・・・ 被災した市街地まで片道20分を歩いてみることにします。


駅からは、少しづつ坂を下るようにして商店街が並んでいますから、

歩道は狭いのですが、照明は明るい、


駅から10分ほど歩いたところで、ほぼ平地に

急に・・・ 崩れたり、明かりが点ってない建物が目立ちはじめてきます。


すでに修理は難しいような建物でも、そのままとなっていて、

転倒しないよう、足下をしっかり見ながら歩いていきます。


桟橋に到着・・・


すでに・・・ 歩道と車道の境は明確ではなく、周囲も暗い。

車が後ろから現れる度に、道の脇に退避しなくてはなりません。


こりゃぁ・・・ 危ないなぁ・・・


・・・と思いはじめた頃、復興市場が見えてきました。

暗い中、明るい光を灯す姿に感激して

ようやく何かをお腹に入れられる! と思ったのも束の間・・・

あいにく、食事店は準備中。




折り返しの道・・・


周囲が暗い割に、飛ばしながら接近してくる車。


人が歩いているかも・・・ なんて考えないのかな!?


道の脇に退避するたびに、周囲の水たまりからでしょうか

異臭が鼻をつきます。


ヒヤヒヤしながら・・・ 先ほどの駅に向かう上りへ、

やはり、急に明るくなります。


道すがら・・・ まだ時間があるので、食堂を見つけ入ります。


定食・・・ 何分でできます!? と聞いた私に
 

そういわれても、すぐはできないよ。 とおやっさん。


入ったなり、ぶしつけな事を言ったな・・・ と反省、列車に乗る事情を話します。


遅くとも、30分程度で食べ終わらないと間に合わなくなるので・・・


それなら・・・ カレーがいい、すぐ出せるよ!


どこから来たの!?


広島からです・・・ さっき高田に行って来ました、

自分の目で見ておこうと思い立って・・・ 

町がひとつ無くなっていました、惨憺たるものでした。


広島かぁ・・・ 清盛さんがね、厳島神社を

あれは素晴らしいね・・・ 一度行ってみたいねぇ!


・・・と平清盛の事を話しだします。


詳しいんですねぇ・・・


俺は、清盛さんのファンでね!


まさか、気仙沼で、しばしの時間、そんな話で盛り上がるとは思いませんでした。


高田へ行ってきましたか・・・

気仙沼も被害が大きかったのではないですか!?


ここは何も無かった・・・


すごく重みを感じた一言でした。


カレーも・・・ じっくりと煮込まれたていて美味しかった!


私は、朝以来何も食べていなかった事も話し、
感謝を伝え、店を後にしました。


この数年のうちに食べたカレーで一番の味に感じられ、

言葉とともに、強く印象に残るものでした。



やはり・・・

通りにあった古道具屋で見かけた、イヌとネコの置物。



君たちは、どんな風景を眺めてきたんだい・・・!?


昨年の・・・ 3月11日の東日本大震災から一年を迎えました。


地震と、それに続く津波での死者は1万5千人を超え、
なお、3千人を超える方が行方不明のままとなっています。

お亡くなりになられた方に対し、あらためて、ご冥福をお祈り致します。

また、身元不明の方が一時でも早く家族のもとに戻ることが
できるよう、願っています。

震災と津波、原発事故により、多くの方が被災地域を離れる事に
なったことに対し、お見舞いを申し上げます。


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