2012年11月23日金曜日

国内最強性能を奢られた、電気機関車の悲運



これまで、製造され 国内で活躍した機関車のなかで


最高出力を誇りながら

さらに、JR在来線の、全ての電源方式に対応する!・・・という


最も、高性能を奢られた EF500 という名の、電気機関車が


JR貨物広島車両所に 現在も、保管されている・・・というと

驚く方も、いらっしゃるかも知れません!


保管・・・!?


そうなんです・・・


この機関車は、せっかくの高性能を発揮する機会もないままに、廃車。

現在は使われていないのです。



では なぜ!? そんな事になってしまったのか?





JR発足当時・・・


好景気を追い風にして 鉄道貨物輸送も、堅調に推移。

国鉄から継承した、設備の更新と、輸送力の増強が急務となっていました。



・・・とはいえ



重量物を運ぶ、貨物列車は

それらと比べて、荷が軽く

フットワークにも秀れる、電車と比べて 加速・減速の面で、不利なうえに

その間を縫うようにして、走ることが求められるだけに

単純に、列車本数を増やす・・・ということが難しいんです。


それならば・・・


一列車あたりの、輸送力を増やそう!・・・ということで


従来からの、1200トンから、

近い将来の・・・ 1600トン単位にまで、列車単位を増強することを見込み


それまで、最強性能を誇っていた EF66形電気機関車 と比べ、

出力を大幅にアップした

直流用電気機関車 EF200 と 写真の EF500 を試作。


EF200は、早々に、量産体制に入り

東海道・山陽本線の、重量級貨物を中心に、活躍を開始しました。


しかしながら・・・


その頃から 景気の後退が鮮明になり、貨物の輸送も減少。


当面、1600トン級貨物列車は、必要ない・・・との判断から、

1300トン級を前提としての、設備の改良に留められることとなりました。


機関車も・・・


以降の新造は、在来のEF66と、出力を揃えた EF210 へと移行。


EF200も、21両で生産を終了。

活躍中の車両も、出力を制限されたままでの、使用が続けられています。


そのような状況のため


EF200をベースにして、東北から、九州まで

3つの、異なる電化区間を、1両で運行するべく試作された、EF500も

東北・九州地域の貨物輸送量の現状から、

試作の1両だけに留められ、量産に移されることはありませんでした。



私は・・・ 時折 一本のコンテナ列車が行き過ぎる時


これを、トラック(自動車)で運んだら、何台分になるのだろう!?


・・・と思うことがあるのですが



これからの時代を考える時、

現在、自動車で運ばれている、貨物の一部を、

鉄道に移すことが、必要になってくるものと思います。




実用的な機関車として、熟成させられることなく、廃車されることになってしまった

EF500 ですが、

国内最強性能の電気機関車であることに違いはなく、

機関車技術の、ひとつの到達点として、保存の意義があるものと思います!

末永い保存を期待したいと思います!




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