建物を建てるとき・・・
しばしば 後年に発生する事になる維持費に重きが置かれないケースがあります。
それが公共建築ともなると、建築主、建築家の鼻は高くとも
維持管理者、利用者にとっては困りものの存在となってしまいます。
今、仮に建物の寿命を短めに30年と考えたとしても、
その間に景気の浮沈の一二度はあることも考えられて建てられていない建物は
名建築とは呼びにくいのでは無いかと思います。
建物は、必要と建築に維持が手を取り合って初めて名建築に
なっていくものではないかと思います。
公共性の強い建築であればあるほど
建築主、建築家、大工、維持管理者、利用者、後世の人達といった
様々な人達の思いが重なりあうことで
やがて名建築になっていくのではないのかなと思います。
竣工は1937(昭和12年)といいますから・・・
なんと、戦前の建築となるこの建物。
宇部市渡辺翁記念会館 (旧:宇部市民会館)
表現派のモダニズム建築の代表作であるとともに
日本近代建築のひとつの到達点を示す作品として、国の重要文化財に指定されている
・・・というのも大納得です!
建築家は広島の 世界平和記念聖堂 の作者としても知られる 村野藤吾 氏。
その前で佇むだけで感じられてくるものものがあります。
これが、もしタイル張りでなかったら、最近の建築といっても信じそうなほどです。
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こちらは正面玄関のレリーフ。 収容人数も現在でも通用するものです。
このホールは音響の良さでも、よく知られていて
今でも多数の催しが開かれています。
今回は急ぎ足で、外観だけの見学になってしまいましたが
いつか、その内装や音響も体感したいと思っています。