私の祖母は・・・
もう、ずっと以前の事ですが、呉服店を営んでいました。
・・・その頃、というと
まだ、街ゆく人の中に、着物姿の方を見かける時代ですから、
まちの服屋さん って感じで・・・
高価な着物なんかよりも、
下着や靴下、ストッキングといった日常衣料の方が、よく売れていたのだとか。
今のような、大型店なんて、あまり無かった時代ですから、
少なからず、そういう需要もあったのですね。
私も、まだ幼くって・・・
店で 祖母といる時間には、反物を引っ張りだしておもちゃにしようとしたりして、
何度か叱られた 懐かしい思い出があります。
常連さんや、隣近所で、お店をやっている方々が、
何かと遊んでくれたりしたもので、
あまり、退屈した・・・といった覚えが無かったなぁ。
あるとき、祖母に・・・
ねぇ・・・ いつも来るおばちゃん・・・ 話の方が多いね。 なんて
尋ねたことがあります。
あまり、店のレジスターが動く姿を見かけることが無く、
子供心にも、心配だったのですね。
そんな事は無いよ、何かと注文してくれる方なんよ!
この間もね・・・
これは、ある程度、後に気づいたことでしたが
そういえば、その方々は・・・ 話ついでのようにして、
よく、反物を、眺めて帰られていたなぁ。
こんにちは! と入って来て、
ほいじゃぁ、また! なんて言いながら帰られていた常連さん・・・
下着を買い求めに来て・・・ あぁ、ここに店があって助かったわ ありがとう! と
安堵して帰っていく作業員風情の人・・・
こんにちは!・・・と入ってきて、ありがとう!・・・と帰っていく人、多かったな。
そういえば、あの頃は
私も、 こんにちは!・・・と入っていく近所の店が多かった。
そのお店の、おじさんとおばさんを、よく知ってて、
時々、娘さんが手伝ってて・・・みたいな。
そして・・・ 今
コンビニやスーパーのレジに並んでいて、
ありがとうございます! と店の人、何も言わず立ち去るお客。
世の中を賑わす、奇っ怪な事件の縮図が、
こんな、日常の風景の中にあるのではないだろうか!?
これで、良かったのだろうか?・・・と、思いながら
まだ、幼かった日を思い出すことがあります。
写真はイメージですが、こんな店・・・ 近所にもありました。